【Twitter】Twitterの限界を探ります。

 ミカグラです。

 今日はTwitterの限界を探ります。

 

Twitterの限界って何?

なんでしょうね。

 

 みなさまご存じの通り、Twitterには「140文字」という字数制限があります。では、140文字を使って、私たちはどれだけのことが表現できるのでしょうか。

 参考に、まずは昔話「桃太郎」から、冒頭を引用して考えてみましょう。

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯物を洗っていると、川からどんぶらこ、どんぶらこと、大きな桃が流れてきました。

これで108文字。桃が流れてくるところまでは書けました。そう考えると、結構Twitterの許容字数は多そうですよね。

 

1ツイートで意見を展開する

ツイート一つで意見を表明するとき、どれだけ説得力のある主張ができるかを考えてみましょう。主張「たばこは法律で禁止すべきである」を例に取り上げます。

 

意見を書く

私は、たばこは法律で禁止すべきであると思う。

: 22文字

 

意見を表明するだけなら一文で済みます。しかしながら、これでは説得力に欠けるので、理由づけをしていく必要があります。

 

意見に理由をつける

私は、たばこは法律で禁止すべきだと思う。理由は、たばこは吸う人に健康被害を及ぼすからである。

: 46文字

 

意見に理由付けをした形。まだまだ余裕がありそう。

 

意見に理由をつけて、さらに理由の根拠を示す

私は、たばこは法律で禁止すべきだと思う。理由は、たばこは吸う人に健康被害を及ぼすからである。現に、喫煙者と非喫煙者では70歳生存率に10-20%の差が生じている*1

: 77文字*2

 

理由に根拠を付けた形。いわゆる「ソースを示す」ことも、1ツイートでできそうですね。URLを貼っても余裕のある字数。

 

意見+理由1+理由2

私は、たばこは法律で禁止すべきだと思う。理由は、たばこは吸う人に健康被害を及ぼすからである。それだけでなく、副流煙を吸い込むことによって起こる受動喫煙は、非喫煙者にも健康被害を及ぼす。

: 92文字

 

 理由を2つつけると、より強固な主張になります。

 この例と先の例からわかるように、3文なら、140字もあれば余裕で書けることがわかりました。

 

背景+意見+理由+根拠

 日本でも、麻薬やドラッグへの依存症が問題になっている。その点では、たばこも依存症を引き起こす一種であるから、法律により規制すべきだ。たばこに含まれる有害物質は、喫煙者に健康被害を及ぼす。現に、喫煙者と非喫煙者では70歳生存率に10-20%の差が生じている。

: 124文字

 

 4文にチャレンジ。だらだらと長く書いてしまうと140字に収まらないので、文を切り詰めるテクニックが必要になります。

 ここまで書ければ、かなり意見の説得力は上がるでしょう。

 

意見+理由+反論への反論

私は、たばこは法律で禁止すべきだと思う。理由は、たばこは吸う人に健康被害を及ぼすからである。たばこ税が国の財源になっているからたばこの規制をすべきではないという意見があるが、国民の健康に悪いものを販売して税金を得ることは倫理に反する。

: 126文字。

 

 4文あれば、想定する反論を示して、さらに再反論をすることもできるようになります*3

 これ以上の文章を詰め込む(5文以上)のは限界そうです。Twitterの限界は4文、というところでしょう。そして、4文あればかなり説得力のある意見を提示することができる、ということがわかりました。

 

「読みやすい文」の限界は?

どれくらいの分量が読みやすい文、と言われるのか? いくつか文献をチェックしてみましょう。

 最近発売された作文技術の新書、小笠原喜康『最新版 大学生のためのレポート・論文術』によれば、

文章をわかりやすくする原則は、ただ一つである。それは、

 

文を短くする。

 

たったこれだけである。だからこそ難しい。さまざまなテクニックのすべては、この原則にそうためである。一文は、三〇字以内がよい。長くても四〇字前後。六〇字を超えると苦しくなり、八〇字を超えるとわかりづらい悪文となる。

とあります。板坂元『考える技術・書く技術』では、加藤秀俊の文を引いて「できることなら四十字、多くても五十字」と提案しています。作文技術の定番、木下是雄『理科系の作文技術』では、50字を目標にする、という記述があります。板坂・木下の両名は論文の執筆を念頭に置いているでしょうから、Twitterでの言論表明ではそこまでの字数は必要としないでしょう。

 これらから考えて、「読みやすい文の長さ」の許容範囲は、だいたい40文字。これを鑑みれば、140字の制限のなかでは、少なくとも3文は書くことができそうです。もう少し頑張って文字を切り詰めれば、4文書ける。

 上で見たように、3文というのは、自分の意見を表明し、それに理由をつけ、さらにその根拠を示すことができる分量です。4文になれば、問題の背景を論じるとか、反論に対して反論をするとかといったことができるようになります。

 もちろん、意味が正確に伝わるように、かつ短い文を書くことは容易ではありません。しかしながら、まとまった意見を表明するのは、十分に可能であるといえます。

 

まとめ

  • 140文字あれば、少なくとも3文、しっかり構成すれば4文は書ける。
  • 3文あれば、自分の意見に根拠付きの理由をつけられる。あるいは、2つの理由がつけられる。
  • 4文あれば、背景の説明、反対意見への反論などもできる。
  • Twitterは、「しっかり考えて文を構成すれば」「1つの」意見を表現できるフィールドである。

ありがとうございました。

*1:Sakata R, et al. BMJ. 2012; 345: e7093.

*2:Twitterでは、半角文字は2文字で全角1文字に数える。また、注は字数から除いた。

*3:上の例は3文ですが、「が」が接続助詞であることを考えれば、内容としては4文と考えられます。