ミカグラです。
数学で用いる英語表現をまとめました。簡単だけどよく見る表現、数学特有の表現などをまとめています。
今後も追記予定です。「こんな表現をまとめてほしい」という要望がありましたら、コメントをお願いします。
見出しの表現
Definition (Def.): 定義
Proposition (Prop.): 命題
定義から示される性質とか、主定理とは特に関係ないものに使われることがおおい。
Lemma (Lem.): 補題
主定理を示すためのサブ命題、という意味合い。
Theorem (Thm.): 定理
とくに主定理のことを指す。論文だとだいたい1章につき1個ないしは、1節につき1個しかない。
Corollary (Cor.): 系
主定理から簡単に導けるサブ命題で、とくに実用性の高いもの。証明は簡潔で、ついていないこともある。
Fact: 事実
広い意味では定理の一種。紙面の都合で証明は載せないけどこういうことが成り立つよ、というときにこのような表現がされる。
Example (Ex.): 例
Remark (Rem.): 注意
定義や命題などの後ろについて、とくに注意しておきたいことを述べる。
Proof (Pf.): 証明
二項関係まわりの表現
reflexive(名reflexivity): 反射的
すなわち、すべてのaに対して、a<aが成り立つ。
irreflexive(名irreflexivity): 非反射的
すなわち、すべてのaに対して、'not a<a'が成り立つ。
serial(名seriality): 継起的
すなわち、すべてのaに対して、a<bなるbが存在する。
transitive(名transitivity): 推移的
すなわち、すべてのa, b, cに対して、a<b, b<cならば、b<cが成り立つ。
symmetric(名symmetry): 対称的
すなわち、すべてのa, bに対して、a<bならば、b<aが成り立つ。
asymmetric(名asymmetry): 非対称的
すなわち、すべてのa, bに対して、a<bならば、'not b<a'が成り立つ。
antisymmetric(名antisymmetry): 反対称的
すなわち、すべてのa, bに対して、a<b, b<aならば、a=bが成り立つ。
trichotomous(名tricotomy): 三分的
すなわち、すべてのa, bに対して、a<b, a=b, a>bのいずれかが成り立つ。
total(名totality): 全順序的
すなわち、すべてのa, bに対して、a<b, a>bのどちらかは成り立つ。
equivalence relation: 同値関係
equivalence relationは、reflexive, symmetric, transitiveである。
文中の表現
Trivial. : 自明。
Obvious. : 明らか。
Straightforward. : 直ちに示される。
A can be easily checked. : Aは簡単に確かめられる。
自明でない場合もよくある。
A is B if C. : Aは、CであるときにBと呼ばれる。
Aに対象、Bに定義したいことがら、Cに定義の説明が入る。定義でよく使う。
e.g.) The group G is commute if for all a, b in G, ab = ba. : 群Gについて、Gのすべての要素a, bについてab = baとなるとき、Gは可換であるという。
Given A, : 与えられたAに対して
Let A be B. : AをBとする。
Aには対象、Bにはその説明が入る。定理や補題などの仮定をおくときに使われることが多い。
e.g.) Let G be a group. : Gを群とする。
If A, then B. : Aであるならば、Bが成り立つ。
A holds. : Aが成り立つ。
A if and only if B. (A iff B.) : Bであるとき、かつその時に限りA。すなわち、AとBは同値。
A is equivalent to B. : AはBと同値。
ちなみに、A if Bが「BならばA」、A only if Bが「AならばB」。
Note that A. : Aであることに注意せよ。
一種の強調表現。
A is defined inductively as follows. : Aは次のように、再帰的に定義される。
よく見る略語
i.e. : すなわち
e.g. : 例として
w.r.t. : ~に関する (with respect to)
o.w. : それ以外 (otherwise)
n.b. : 注意せよ
証明中の表現
It suffices to show A. : Aを示せば十分。
Assume(Suppose) that A. : Aを仮定する。
A follows from B. : AはBであることから従う。
By A, we get B. : Aから、Bを得る。
数学においては主語をweとおく。
Then (Thus, Hence, Therefore, Henceforth) : ゆえに
たくさんの言い回しがある。
A, as required. : Aであり、これが求めるものである。
証明したい結論が得られたことを明示する。
induction on n : nに対する帰納法
たいてい数学的帰納法のこと。数理論理学の文脈では、induction on φ(論理式φの構成に対する帰納法)など、n(自然数)以外のものに対して帰納法を回すことがしばしばある。
contraposition : 対偶
対偶法を用いた証明は、文頭に We show that by using contraposition. などと書かれることがある。
reductio ad absurdum : 背理法
This proof is by reductio ad absurdum. 「この証明は背理法による。」のように使う。なぜラテン語なのかはよくわからない。
Suppose A. ~ Then B, which is a contradiction. : Aを仮定する。~ よってBであるが、これは矛盾。
背理法の書式。