2021年に流行を見せ、年を跨いでなお勢いを失わない言葉遊び・ゴママヨについて、観察される現象を記す。
新しいゴママヨ
ゴママヨに関連した新しい概念は日々生み出されている。その中でも特に注目に値する2つの概念を紹介する。
575ゴママヨ
五七五の文のうち、その中にゴママヨが入っているもののことを575ゴママヨという*1。古くから言葉遊びとして親しまれてきた575探しとゴママヨは相性がよいのか、特に流行りを見せている。
シュレーディンガーのゴママヨ
漢字の読み方によりゴママヨが発生するようにもしないようにもできる単語を「シュレーディンガーのゴママヨ」という。量子力学における、量子の状態は観測するまで確定しないことのたとえ話「シュレーディンガーの猫」に由来する。
例: 「チーズ好き」は、読み方により「チーズすき」「チーズずき」となり、ゴママヨが発生するかどうかが変わる。これはシュレーディンガーのゴママヨである。
575ゴママヨ:575の形でかつゴママヨ
— 🍨卵生 Мороже💣 (@Morojenium) 2021年8月19日
単位ゴママヨ:ABBC 型のゴママヨ(「紫蘇そば」など)
Schrödinger のゴママヨ:読み方によってゴママヨになったりならなかったりする(「チーズ好き」など)
音楽ゲームにおけるゴママヨ
音楽ゲームにおけるノーツの配置にも、ゴママヨと呼ばれる配置が存在する。こちらの定義は明確ではないが、いわゆる階段配置の接合部で生じる縦連のことをゴママヨ配置と呼ぶことが多い。
例:
ゴママヨキャンセルとゴママヨ回避
ゴママヨキャンセルとゴママヨ回避は混同して用いられていたが、最近ではその使われ方が固定されてきている。
ゴママヨキャンセルは、ここにもあるように「ゴママヨが起こっている個所をつなげることでゴママヨを解消する操作」のことを指す。そして、そのことのみをゴママヨキャンセルと呼ぶ。
対して、語順を変える、助詞を挟むなどしてゴママヨの発生箇所を消すことは「ゴママヨ回避」、あるいは「ゴママヨ避け」と呼ばれる。ゴママヨ回避は、ゴママヨキャンセル以外のゴママヨの解消方法を指す。ゴママヨ回避の具体例については[1]が詳しい。
ゴママヨの指摘
ゴママヨの指摘方法についてまとめる。[2]の記述を踏まえつつ、新たな語用についても記す。
まず、ゴママヨそのものを単体で指摘する場合には、「!?!?」を連続させてつける。「!?」の繰り返しは任意であり、特に定まった使用法はないようである。
例:「サイレンススズカ!?!?」
より簡潔な指摘としては、被っている文字を次のように指摘するものがある。
例: 「サイレンススズカ、スが……」
会話をしている双方がゴママヨに対して理解がある場合は、上の例での「スが……」の部分も省略し、「ゴママヨ単語+読点」のみで指摘を終わらせる例も存在する。
例: 「サイレンススズカ、」
ツイートの文中でゴママヨを指摘する場合には、ゴママヨの後ろに(!?)をつける。この場合には、記号の繰り返しはせず、さらに半角記号を使うことが多い。ゴママヨが過度に目立つとツイートの本筋が伝わりづらくなるためであろう。
例: 「すべての自然数について、という命題を証明するときには、数学的帰納法(!?)を用いると、うまくいく場合があります。」
その他覚書
言語学(とくに音韻論)を研究する研究者にもゴママヨが認知されたらしい。
ゴママヨは何で面白いんでしょうか、という学生からの質問笑。重音脱落(haplology)で「たびびと」が「たびと」になるように、隣接する同音は脱落する傾向にあるので、「ゴママヨ」は高コストでめんどい発音であるから、めんどいやつが面白かったりするってことじゃないですかね、と鬼適当な回答字数
— katodaikaku (@katodaikaku) 2021年9月3日
ツイートでは、元来隣接する同音は脱落する(ゴママヨキャンセルが起こる)ほうが優勢であるため、わざわざそれを残しておくことが面白い、という見解が示されている。
既存の音韻論の知識をもとに、ゴママヨを対象としてなにか面白い研究ができるのかどうか興味深い。
参考文献
[1] ソウルのイカスミ養殖場『ゴママヨ避け研究究明委員会 無限限界編』
[2] 0と1の間でティータイム『【雑記】ゴママヨ研究ノート』
3qua9la-notebook.hatenablog.com
*1:指摘するまでもないが、「575ゴママヨ」もゴママヨである。