【お気持ち表明】謎解き公演に飽きたから、「脱出ゲーム」がしたい

 こんにちは。ミカグラです。

 

 今回のブログは、今話題の「謎解き公演」についてです。

 

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これはプレビューの見栄えをよくするために挟んだイラスト。

 大学に入ってちょいちょい謎解き公演に足を運んでいましたが、最近はめっきり行かなくなってしまいました。なんでなんやろなあというのを考えた結果の一応の結論が出たので、覚書としてブログに落としていきたいと思います。

 

 弊ブログだと最近はなんかの攻略*1とかなんかの情報*2とかなんかの論文チックなもの*3を書いていましたが、今回は純度100%のお気持ち表明です。だから特にまとまりの文章にはなっていないし、全員に共感されない記事だろうし、考えが合わないからと言ってこれといった反論を受け付ける気分はあんまりないです*4。よろしくお願いします。

 

 

 

 

最近の謎解きの特徴

公演全体にあるストーリー

 最近の脱出ゲームを象徴する最も大きな特徴はこれなんじゃないかと思います。

 最大手のSCRAPが「リアル脱出ゲーム*5」に物語性を付与してからというもの、現在の脱出ゲームにはだいたい「ストーリー」がつくことが一般的になりました。閉じ込められる側はなにかの主人公になって、事件を解決したりとか、仲間を助けたりとかいったストーリーが、展開されるようになりました。

 『沈みゆく豪華客船の脱出』はめちゃくちゃよかったですね。ミステリーサーカスのこけら落とし公演だけあってかなりの気合いが入った良作だと感じました。自分が物語の主人公になれる、そんな気分が味わえます。

 

仕掛けが大がかり

 特にアジト型と呼ばれるものが有名ですが、仕掛けがかなり凝ってるなあと感じます。『追跡者Xからの脱出』は、クソデカい舞台装置や大小様々なアイテム、大がかりな仕掛けなどが印象的で、驚かされた記憶があります。ふつうのお部屋にぽつぽつとアイテムがある、というような、ひと昔前のwebにあるような脱出ゲームとは全く違う空間が広がっています。

 

謎解きの重厚化

 現在あるほとんどの謎解き公演では、テレビでよく見るようなひらめき次第の謎だけではなくて、いわゆる大謎とか中謎と呼ばれる、ストーリー展開に大きく関わる謎が出題されるのが普通です。ある意味では、自分がいる世界のしくみそのものを解き明かす、というような謎が用意されています。今までの行動や周囲の状況を振り返らないと解けない謎がほとんどで、かなりのレベルを要求してきます。ただ単に謎が連発されるだけでなく、それらが複雑に絡み合っていくのも、最近の謎解き公演の特徴です。

 

コラボ作品の増加

 最近アニメとか漫画観てると「〇〇×リアル脱出ゲーム」とかいう文面めちゃくちゃよく見ません?名探偵コナン×リアル脱出ゲームとか。逆転裁判×リアル脱出ゲームとか。進撃の巨人×リアル脱出ゲームとか。

 謎解きが認知されていく中で、こうしたコラボ公演が増えてきました。これは、上にあげた「ストーリーをつくる」ことに伴っての影響だと思います。こうした謎解き公演は、原作の設定をうまく活用しつつ、オリジナルのストーリーが描かれ、物語感をさらに高めてくれます。

 

 ざっと挙げてもこれだけ、謎解き公演は今や大きく進化をとげ、より発展した姿になっているといえます。

 

じゃあなにが不満なのさ?

 ここまで書いてきて、謎解きは随分と発達して、面白いものになっていったんだなあと感じる方が多いかと思います。一体なにが不満なのさ?というのは当然の疑問です。

 

 一言でいえば、「疲れちゃった」んです。

 

謎解き公演、重すぎる

 現在の作品にはほとんど「ストーリー」があります。つまり、閉じ込められた理由があって、クリア条件があって、大謎がある。今はそれがデフォルトになっている気がします。

 でも、正直どこもかしこもそういうコンテンツばっかりで、重たいなあ、って思っちゃったんですよ。

 例えば大謎。当然なんですが、「自分のいる世界に隠された仕組みを解き明かす」といった謎なので、解くのに多くの労力を使います。でも、全部が全部そんな公演ばかりで、大謎がないような公演がなくなっちゃったので、すべての公演が「ある程度重たく」なっちゃいました。気軽に遊べるコンテンツがなくなっちゃった。もしそうしたコンテンツが遊びたいなら、部屋に閉じ込められるのはあきらめて、紙媒体やwebでの謎といった形式で解くしかない*6

 あとはストーリー。謎解き公演ではほぼ必ず「自分が主人公」です。謎解き公演に多く参加すると、何度も「主人公」になって、たいていは危険な状況に立たされて、世界を救わなければならなくなります。で、はっきりいってそれも疲れちゃった。謎解き公演に参加するということは、「謎を解いて脱出する」ではなく、異世界転生して主人公になる」ことを意味します。いや、もう世界救うの疲れたよ……

 

「小謎いらない論」ってなんだよ

 最近まことしやかに「公演に小謎は必要ない」という言説がささやかれています。確かに、小謎は大抵の場合、単なる障壁、つまり「物語を適切な時間で進めるディレイ」として存在します。だから、舞台装置としての小謎は、ある意味では必要ない、別のものでもよいというのは、かなり説得力のある主張です。しかしながら、本来謎解きを下地に発展したリアル脱出ゲームが、その進化のなれの果てに「謎」を捨てる動きに走っているのは、自分にはかなり奇妙な流れのように思えます。

 これから謎解き公演が小謎の代わりとなる舞台装置を発見して、そちらにシフトしてしまったら、今までの「謎を解いて次のステップへ」を楽しみたい人は、どこへ行けばいいんですか?

 

鍵が外れる快感がほしい

 だって「脱出ゲーム」なんだもん。最後にカギを開けて、「俺は脱出したぞ!」っていう感覚がほしいんですよ。最近のゲームの多くは、「カギを直接開ける代わりに、「最後の答えを提出する」とか、「何らかのアクションを起こす」とかいうのが多い。それは、ストーリーに合わせたりとか、多くのお客さんを捌いたりとか、珍しい体験をさせたいとか、ちゃんとした理由があってのことです。

 だけど、物理的に自分でカシャ*7っとカギを開けて、ドアから脱出する、この展開を長らくやっていない気がする。ある意味、最近の脱出ゲームが多様化に伴って「置いてきた」特徴の一つなのかな、という風に感じます。

 

で、なにがお望みなんですか?

疲れた人から見える今の業界

 例えるなら今の謎解きは、多様化したラーメン業界に似ています。しっかりとした味を持つ博多ラーメン、色とりどりのアイテムと濃厚なストーリーが味わえる札幌味噌ラーメン、あるいは謎解きに特化し、謎マシマシで挑戦者を迎え撃つ二郎系などなど、枚挙に暇がありません。長い歴史のなかで、多様化というのはコンテンツの自然な流れです。またこれは、謎解きのファンからすれば、多くの選択肢があるという喜ばしい状況です(この点については僕もそう思っています)。

 惜しむらくは、この「謎解き」という市場においてシンプルな脱出ゲーム、ラーメンにたとえるならば中華そばが存在しないことです。

 みなさん「幸楽苑」の醤油ラーメン食べたことありますか?昔ながらのシンプルな鶏ガラだしと醤油たれ、それに絡むつやつやで弾力ある麺、王道のトッピングであるネギ・メンマ・チャーシュー。さらに440円というお財布にやさしいお値段。悪く言えば特徴のないラーメンとも言えますが、よく言えばみんなが味を楽しめる、みんなに愛されるラーメンとも言えます。幸楽苑の根強い人気が示すように、こうしたシンプルでオーソドックスな商品には一定の需要があります。

 しかし、ラーメン業界とはちがって、謎解き業界にこうしたシンプルでオーソドックスな商品はありません*8

 

シンプルな謎解き存在しませんか?

 私は、シンプルでオーソドックスな謎解き、悪く言えば多様化の波に逆らう、「脱出ゲーム」がしたい。

 脱出ゲームというのは、名前の通り、

  • 特にストーリーも事前情報もなく
  • 突然物理的な密室に閉じ込められて
  • いくつかの謎を解いて
  • 鍵を手に入れて脱出する

という例のあれです。多様化の波に伴って増えた、物語の主人公になって、謎を解き明かして仲間を助けて世界を救う体験とか、パソコンの前で入り組んだ複雑な謎を解くといった「謎解き公演」ではなくて、です。

 密室に閉じ込められて、部屋のアイテムを使いつつ謎を解いて、カギを開けて、脱出。制限時間が過ぎるとドッカーン。それ以外の要素や情報は全くゼロ。自分が主人公のストーリーも、大掛かりな仕掛けも、複雑に絡み合う大謎も、全部全部そぎ落とした、一昔前のwebに転がっていたような「脱出ゲーム」。こうした万人から愛される特徴のない中華そば、どこかにあるんですかね。

 

例えばどんなやつ?

 『脱出ゲームDERO!』*9での「天井の間」「水の間」を知っていますか?あれって舞台セットとしては白い部屋のなかにいくつかの物品がある以外は凝った設定や仕掛けはあんまりないじゃないですか(天井が落ちてきたり水が出てくるのは異常だけど)。でもああいったシンプルな設定でも、見ている側は充分に楽しいし、おそらくやっている側も楽しい。

 『リアル脱出ゲームTV』*10もそうでしょう。あれも謎男が爆弾を仕掛けて謎を解かないとボッカーン。謎解きも、PCやスマートフォンなど身の回りにあるものを使ったシンプルな構成。こちらも単純な仕掛けで、理不尽なゲームじゃないですか。でもやっぱり面白い。

 

 真っ白な部屋から制限時間内に脱出するっていう、さっぱりした脱出ゲームも、ある程度の需要があるはずなんですよ。僕はこうした脱出ゲームがしたい。そろそろ鶏ガラ醤油ラーメンが食いてえな。という感想です。

*1:snow storm -euphoria- とかね。

*2:お肉のおいしい焼き方とかね。

*3:VTuberの話ね。

*4:もちろん誹謗中傷をしないとか、読みやすいレイアウトにするとかいう最低限のラインは守っています。

*5:この「リアル脱出ゲーム」はSCRAPの登録商標なので、この記事では一般的な名称として「謎解き公演」という言葉を使います。

*6:最近だと紙媒体の謎やweb謎にも大謎があるんですが

*7:あるいはカチャ。

*8:いや、俺が見つけてないだけかもしれんけど。

*9:日テレにて放送。続編の『TORE!』も有名。

*10:TBSにて放送。名前からわかる通り、SCRAPが制作協力。