こんばんは。ミカグラです。
先日、『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を見てきました。
これがめちゃくちゃよかったので今怪文書を書いています。簡単に言うとダイマです。残念ながら画力がないので漫画でステマができないんですよね
映画公式サイトはこちら。
ここに書いてあるあらすじ+必要最小限で、ネタバレに配慮して感想を書いていきたいと思います。
記事の執筆には最大限注意を払いましたが、もしかしたら、察しのいい方にとっては、ネタバレともとれる表現をしてしまっている可能性があります。ご容赦いただける方のみ、読み進めていただけると幸いです。
はじめに
Twitterを見てると「逆詐欺映画だった!」「ジョーカーをしのぐ衝撃」などというレビューが目立ちます。正直な感想としては、なんか持ち上げすぎじゃない?という気持ちになります。
この映画の本質は、まず徹底的に作りこまれたやさしさ、子供でも分かる描写の丁寧さにあると思うんです。ここがまず多くの人を引き付ける要因なのかな、と。そして、クライマックスの展開は「衝撃のラスト」とか「逆詐称」ではなくて、約束された展開だと思います。
ここら辺の話を、極力ネタバレに配慮して書いていきたいです。
映画すみっコぐらしの推しポイント
1. そもそも「すみっコぐらし」がいい
すみっコぐらしの主人公は、部屋のすみっこで暮らすキャラクター達。そして彼らは、それぞれ特有の「ネガティブさ」を持っています。
例えば、「とんかつ」。
このキャラクターは、今も昔も子供たちや食欲旺盛な大学生の大好物である「とんかつ」なのですが、お肉がほとんど入っておらず、残されてしまったすみっこのとんかつです(真ん中の口になっている部分がお肉です)。このように、ちょっぴりコンプレックスを持ったキャラクターたちが、『すみっコぐらし』の主人公。
これがもう刺さるんですよね。
きっと自分を重ねてしまう、そんな愛らしいキャラたちがそもそもとてもいい。
2. やさしさに包まれた画面や音響
この映画のひとつの良さである、「やさしさ」を取り上げます。
まずは画面がやさしい。
どういうことだよ!って突っ込まれるので解説すると、この映画、まず作画がものすごくシンプル。昨今のアニメ映画などにおける細かいタッチの描写は、考察大好き限界オタクの大好物ではありますが小さい子供にとってはなかなかわかりにくいもの。この映画にはそういった対象はほとんどなく、極めて分かりやすいアニメーションになっています。
加えて目立つのが色使いのやさしさ。基本的にこの映画では、パステルカラーが基調になってアニメーションが作られています。こういったところにもとっつきやすさを感じます。
もう一つは音響。まず、この映画では、思わずドキッとしてしまうシーンもありますが、いわゆるビビらせるような効果音はありません。あくまでもやさしく、しかしながらも聞き入ってしまう音楽が、物語を彩っています。
そして特にやさしさを感じるのがナレーション。V6のメンバー、イノッチこと井ノ原快彦さんと、『おでんくん』などのナレーションでおなじみの本上まなみさん両名によるナレーションは、こども向けのゆったりとした語り口で、物語にやさしく誘ってくれます。あまりのやさしさに眠くなっちゃうとの声も……
3. 徹底的に丁寧なストーリー進行
何度でも言いますが、この映画は小さなお友達をターゲットにして作られています。実際には私のような大きなお友達にも大ヒットなのですが。ですから、物語の運びは子供でも分かるように非常に丁寧に描かれています。
まず、冒頭では『すみっコぐらし』を知らないお友達のためにちゃんとすみっコたちの説明をイノッチがしてくれます(だからこの映画はすみっコぐらしを全く知らなくても楽しめます)。
それに、公式サイトに書いてあるあらすじの内容も時間をかけてゆっくりと上映されます。なぜなら映画を見る前にあらすじを読むような真似はオタクコンテンツだいすきの大きなお友達しかやらないからです。あくまで子供に対してストーリーをわかりやすく、となっています。
そもそも「主人公たちが絵本の中に吸い込まれて物語が進む」という展開自体が子供用作品では手あかがつくほど使い古されたド鉄板展開なんですよね。しかも扱う物語も、ポスターから容易にわかるように「桃太郎」「赤ずきん」「マッチ売りの少女」など誰もが知ってる定番のものばかり。この映画では、スクリーンに足を運んできた人を選ぶようなことはしません。最近そういうコンテンツまあまああるよね……
そしてもうひとつわかりやすいものとして……っと、この話は最後にしましょう。
4. 約束された感動のラスト
ここが今回一番伝えたかった点です。一番伝えたいけど、ネタバレして楽しみを奪いたくないので、ちょっと気を付けて書きます。
映画終盤のクライマックス、感動で涙必至の展開が待ち受けています。自分もめちゃくちゃ泣きました。顔が崩れるくらい泣きました。
でもこのラストは、巷にあるような「予想を裏切る衝撃のラスト」ではないと私は思います。
なぜなら、子供にもわかりやすく、わかりやすくという心構えが出てしまったのでしょう、非常にわかりやすく伏線がバッッッッッッッチリ敷いてあるからです。小さいお友達ならいざ知らず、日ごろからオタク文化に親しみ三度の飯より伏線回収が好きな大きなお友達にとっては、あまりにもわかりやすく、堂々と伏線が横たわっているからです。
だから、「予想できない」というのは、ある意味では少し誇大広告のような気がします。
しかし、いやだからこそ、この予想通り、約束されたラストの展開は非常に心を打ちます。
ネタバレだけには気を付けてギリギリまで言葉を選ぶと
最後のエンドは、きっと「小さなお友達向けのアニメだから」、別のエンドで脚本を終わらせることも、可能であったとは思います。
だけど、それは違う。そんなことだったらきっと、今巷にある『映画すみっコぐらし』の評判はなかったでしょう。いままで積み上げてきた物語が、伏線が、それを許さないのです。小さなお友達だけなくて、この映画を見るみんなが納得できるために、物語はそうあらなければならない、という結末がある。
だから、ある意味で当然の、約束されたラストに向かって、物語は進行する。
『映画すみっコぐらし』に関して、なんとかネタバレを避けて言葉をひねり出すならば、「それでもこのエンドにしようと決意した製作陣に、最大限の感謝と敬意を表したい」。
まとまらない文章になってしまいましたが、もうこれ以上は書けません。
『映画すみっコぐらし』の全容は、ぜひとも読者のみなさんの目で確かめていただきたいです。
やさしさにあふれた、じんわり心にしみわたる作品です。
ぜひ、肩の力を抜いて、気楽に観に行ってください。
でもいちおう、ハンカチだけは、忘れないで。
『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を、観て。